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P.11 アイドルを探せ
シルヴィ・バルタン(vo)
VICTOR SS-1476
生まれて初めて、自分で買ったレコードが、このドーナッツ盤です。
たぶん、小学校の5〜6年生だったと思います。
ラジオ大好き少年だった私は、毎日のように流れてくるこの曲に
すっかり参ってしまいました。
さっそく、お小遣いを握りしめてレコード屋さんへ...。
フランス語だという事も分からなかったのですが、毎日、何回も聞いて
そらで全部歌えるようになりました。
その時のレコードは、とっくに無くしてしまいましたが
先日、なんと、友人が探し出してプレゼントしてくれました!
そう、そう!このジャケット!と、大感激でした。
ラプエド プワネドセー 〜
♪
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P.12 メンデルスゾーン 無言歌集
ワルター・ギーゼキング(P)
英COLUMBIA 33CX 1479
「音楽とは歌うことです!」中学の音楽の先生がいつも言ってました。
今でも自分にとっていい演奏とは、歌心があるかどうかで決まるようです。
ギーゼキングの無言歌は、まさにピアノが歌います。
それも、かろやかに、はるか遠くへ思いをはせるように...。
「春の歌」や、今の季節にぴったりな「五月のそよ風」など、思わず
口ずさみたくなるような素敵な曲集です。
脚本家の向田 邦子さんが、自分の書いたテレビドラマで流れる音楽に
無言歌の「ヴェニスの舟歌」、それも必ずギーゼキングで、と注文を
付けたと言う話は、飛行機事故で亡くなられた後に知りました ...。
しばらくCDショップで見かけませんでしたが、今年に入って
国内盤が音も良くなって再発されました。お勧めですよ!
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P.13 アフタヌーン イン パリ ( Afternoon in Paris )
ステファン・グラッペリ(vn)
テイチク UPX-61-P
クラシック喫茶を始める時、ジャズが大好きな友人から
レコードを何枚か選んでもらいました。
ジャズの事を良く知らない私は、ひとつだけ注文を付けました。
それは「お酒が美味しくなるレコードを!」でした。
その時、選んでもらった中の一枚がこのLPです。
ステファン・グラッペリはパリに生まれ育ち、当初はクラシックの
演奏家を志しました。その後ジャズ界に転向して活躍し、名アルバムを
残してくれました。
スウィング感にあふれ、しかも叙情性に満ちたこのLPも、閉店後に
数え切れないほど聴きました。
もちろん、今でもお酒の友として愛聴しています。
「ふらんすへ行きたしと思えども、ふらんすはあまりに遠し」
せめてはレコードをきき、きままに酒をのまん。
(朔太郎さんごめんなさい)
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P.14 フリードリッヒ.グルダ / リサイタル
フリードリッヒ・グルダ(P)
AMADEO MO 1024
先日、音楽評論家の黒田 恭一さんが亡くなられたとの記事が
新聞に載っていました。
クラシック音楽を聴き始めた頃、それまでの堅苦しい評論と
違う、黒田氏の、みずみずしい文面に目を奪われました。
このLPも雑誌に掲載された、氏のLP紹介欄で知りました。
グルダの奔放で、きらめくような装飾音が、とても新鮮に感じられ
「クラシックってこんなに自由でいいんだ!」と感動したのを
思い出します。
その後も、ラジオやTVでの穏やかな話し方は大好きでした。
雑誌「サライ」のCD紹介のページは、毎号欠かさず拝見し
このH.Pの「CD手帳」にも何枚か登場しています。
クラシックからジャズ、ポップスや民俗音楽まで、ジャンルを
超えた本物の音楽を紹介してくれる、稀有な評論家でした。
本当に素敵な方を亡くしました...。
最後にNHK FM「20世紀の名演奏」のエンディングでの
黒田氏の言葉を引用させて頂きます。
「みなさま、どうぞ心穏やかにお過ごしください。」
ご冥福をお祈りいたします
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P.15 ベートーヴェン 弦楽四重奏 第7番 Op.59
「ラズモフスキー1番」
ブッシュ 弦楽四重奏団
米COLUMBIA ML 4155
ベートーヴェンの弦楽四重奏は、音楽評論などの
先入観もあり、なかなか手が伸びませんでした。
クラシック喫茶を開店し、最初に買った四重奏のLPが
なんとカペーSQの14番!
少し聴いてから、しばらく手が伸びなくなったのは
言うまでもありません。
時が過ぎたある日、お客さんがいない店でブッシュSQの
7番をかけてみました。
流れるような第一楽章に乗せられるように、最後まで
一気に聴き通せました!
その後は、初期、中期、後期と、さまざまな演奏家のLPを
手に入れて聴き、ようやくカペーの凄さも解りました。
ブッシュSQの演奏を聴かなかったら、おそらく今でも
ベートーヴェンの弦楽四重奏は、遠い存在のままだったと
思います。
いつの日か楽風舎で、弦楽四重奏のコンサートを開きたい
ですねー。
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P.16 モーツァルト ホルン協奏曲
1番〜4番 K 412〜495
デニス・ブレイン(hrn)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(cond)
フィルハーモニア管弦楽団
英COLUMBIA 33CX 1140
夏の青空に浮かぶ雲を見ていると、この曲を思い出します。
デニス・ブレインのホルンは高く気ままに流れる浮雲。
まるで鼻歌を歌うような軽やかなホルンの旋律が続きます。
このLPが録音されたのは1953年。
今から半世紀以上前ですが、いまだにこの演奏を
超えるものは聴くことができません。
若きカラヤンとフィルハーモニア管弦楽団も
颯爽として見事です。
私たちは早すぎるブレインの事故死によって
どれだけ大きなものを失ったのでしょうか...。
それより、この録音を残してくれた事を
心から感謝すべきなのかもしれません...。
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P.17 ベートーヴェン ピアノソナタ 第30番〜第32番
Op.109〜Op.111
ソロモン
(P)
英EMI RLS 722
ベートーヴェンのピアノソナタのなかでも
最後の三つ、30番、31番、32番は
ベートーヴェンの音楽、いや、すべての音楽のなかでも
際立った輝きを放つ作品だと思います。
イギリス生まれのソロモンは、クラシックの演奏家としては
めずらしく、ファーストネームで演奏活動をしていました。
( フルネームは Solomon Cutner )
1953年に来日したそうですが、病気の後遺症のため
演奏活動は短く、レコードも多くありませんでした。
初めてソロモンの演奏でこの三曲を聴いた時の感動は
今でも忘れられません。
澄んだ響きの中に、明るい光が差し込んでくるような
演奏でした...。
その時一緒に聴いていた友は、もう光の先に行ってしまいました。
そういえば彼と行った最後のコンサートも32番でした...。
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P.18 モーツァルト ディベルディメント
1番/17番 K 136/334
ウイーン八重奏団
英DECCA Ace of Diamonds SDD 251
少し早いかも知れませんが、秋らしいジャケットを...。
その昔、クラシック喫茶を開いていた頃、常連のお客さんと
モーツァルトの曲の中で、どの曲が一番モーツァルトらしいか
という、話題になったことを思い出しました。
そのお客さんは、以前、女友達と同じ話になって
ピアノソナタ、ヴァイオリンソナタ、ピアノコンチェルト
クラリネット五重奏&コンチェルト...と次々に名前を挙げたら
「そんな完璧な音楽ばかり聴いて、今の自分がいやにならない?」
なんて言われたんですよ。と話してくれました。
さらに「私だったらディベルディメントが一番気楽でいいなー」とも。
その話を聞いて、私はしばらく言葉がでませんでした...。
私自身も、モーツァルトの音楽が輝き過ぎて、眩しく感じられ
まったく聴けない時期があったことを思い出したからです。
そしてモーツァルトに順番を付けるという狭い話は、おしまいに...。
ウイーン八重奏団のディベルディメントは正に、心かろやか。
澄んだ秋晴れの日にぴったりです。
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P.19 MEET THE BEATLES!
ザ・ビートルズ
東芝EMI EAS-70100
レコード棚にこんなビートルズのLPがありました。
ビートルズが衝撃的に登場した時、私はまだ小学生でした。
当然レコードは買えず、このLPを買ったのは大きくなって
からだったと思います。
解説によると日本で最初に発売されたLPだとか...。
ジャケットは2枚目のアルバム「WITH THE BEATLES」と同じですが
MEET THE になっていて、入っている曲も違っています。
今となっては貴重なレコードですね。
あの当時、どんな音で聴いていたのかは、よく覚えていませんが
ジャケットを見ると、あの頃の胸の高鳴りだけは今でも鮮明に
よみがえります!
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P.20 J.S.バッハ ゴールドベルグ変奏曲 BWV
998
「弦楽三重奏版」
ドミトリ・シトコヴェツキー (vn)
ジェラール・コセ (va)
ミッシャ・マイスキー
(vc)
独 ORFEO S 138 851 A
先日、コンサートで初めてゴールドベルクの弦楽三重奏版の
生演奏を聴くことができました。
全曲休憩なしで約80分!聴く方もですが、演奏者はさぞ大変
だったことでしょう...。素晴らしい、そして貴重な体験でした。
このレコードが録音されたのが1984年、もうすぐCDに
取って代わられようとしている時にリリースされました。
ヴァイオリンのシトコヴェツキー氏が編曲したもので
G.グールドのゴールドベルクにインスパイアされて
書き上げたとの事。
久し振りに聴いてみると、各楽器が響き合い、音が重なり合って
独自のバッハの世界が広がります。
レコードを聴いてコンサートに行く。
コンサートに行ってレコード(CD)を買う。
どちらも欠かせません...。
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