私が音楽を聴き始めた時はLP盤の全盛期でした。
 初任給が5万円くらいの時代、LPは2,000円ほど、
 輸入盤は3,000円以上もしたと思います。
 どれにしようか何度も何度も考えて、
 やっとの思いで買ったのを憶えています。
 それにしてもLPの紙ジャケットは大きくて素敵でした。
  
  何年か過ぎて、「時屋」という小さなクラシック喫茶を
 始めることになったのですが、カウンターの隅にジャケットを
 立てかけて、日々、音楽を流し続けました。
  今、思い出しても、その時聴いたレコードが
 私の音楽観の背骨になっているようです。
  
  そんなLPの写真を見ながら、音楽の記憶を
 たどって行きたいと思います。 


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.21 モーツァルト クラリネット協奏曲 K 622
             バス−ン 協奏曲 K 191

レオポルド・ウラッハ (cl
カール・エールベルガー (fg)
アルトゥール・ロジンスキ(cond
ウィーン国立歌劇場管弦楽団

米ウエストミンスターWL 5307

 モーツァルトの最後の協奏曲が、このクラリネット協奏曲。

 ウラッハの見事な演奏は半世紀以上経っても色あせません。
1954年 ウイーンのコンチェルトハウス、モーツァルトザールで
録音されました。
 今から20数年前に同じホールでコンサートを聴ける機会がありました。
柔らかく響きのとてもきれいなホールだったのを思い出します。

 晩秋から冬にかけて透明度を増す水面。そこに映りこむ樹々や
陽光のようなクラリネットの旋律の見事さは言葉に尽くせません...

 ひとりでも多くの人に聴いてもらいたいレコードです。  

2009.12.12

.22 モーツァルト クラリネット五重奏曲 K 581
             

レオポルド・ウラッハ (cl)

ウィーン コンチェルトハウス四重奏団

米ウエストミンスター WL 5112

 もう20数年も前になりますが、私の結婚式に時屋のスピーカー
持ち込んでモーツァルトを流し続けたのを思い出しました。

 この曲もその中の一曲...
失礼ながら、祝辞の中身はほとんど忘れてしまいましたが
やわらかなクラリネットと、弦楽の調べに耳を奪われたのは
今でもはっきりと思い出せます。

 先回のクラリネット協奏曲と同じ人がデザインしたと思われる
ジャケットのイラストは、演奏と共にいつまでも鮮やかです!  

2010.2.27

.23 ショパン ワルツ集             

ディヌ・リパッティ (P)

COLUMBIA 33CX 1032


 今年はショパン生誕200年とか...
そのせいか、CDや演奏会もショパンの曲が目立つようです。
先日もアリス=紗良・オットのワルツを収めたCDを買いました。
輝くような明るいピアノの音と、屈託の無い伸びやかな演奏は
とても新鮮でした。

 でも、私にとってショパンのワルツと言えばこのリパッティのLPです。
本当に数え切れないほど聴いたので、このLPが一つの曲として
耳に焼き付いて、曲順が違った他の人の演奏では、しばらく
違和感がありました。

 長調と短調、きらめきと翳り。
その間を次々と移ろうピアノの音を聴いていると、ショパンと
リパッティが重なり合います...。   

2010.2.27

.24 THE GRADUATE ( 卒業/オリジナル・サウンドトラック )

サイモン&ガーファンクル

CBS SONY 25AP1365


 卒業式も終わり、今日から四月です。
四月の名前が付いた曲の中で、真っ先に思い出すのが
このLPの七曲目。
「四月になれば彼女は/APRIL COME SHE WILL」。

 映画「卒業」のサントラ盤ですが、ジャケットの大胆なカットに
まずドキドキ。
そして、素敵な歌声にすっかり虜になりました。

 「明日にかける橋」のLPとともに、高校時代の大切な宝物です。 

2010. 4. 1

.25 ワルツ フォー デビイ

ビル・ エヴァンス (p)

スコット・ラファエロ (b)

ポール・モチアン (ds)


RIVERSIDE OJC-210 (RLP-9399)

 先日、久しぶりにレコードを探していたら
奥の箱からエヴァンス のLPが5枚ほど出てきました。

 CDのジャケットを見慣れた目には、その大きさが
とても新鮮に映ります!
それにしても素敵な色あいと構図ですね・・・。

 中身は言わずと知れたジャズの名盤中の名盤。
1961
625日、ヴレッジ ヴアンガードでのライヴ録音です。
My Foolish Heart 
で演奏が始まりますが、店内のグラスの音や
笑い声などもリアルに入っていて、照明を暗くして聴いていると
まるでその場にタイムスリップしたように感じられます。
当日はこのアルバムの他に「サンデイ・アット・ザ・ビレッジ・
ヴァンガード」も録音されました。
 ベースのスコット・ラファエロがこの日から10日あまりで
自動車事故により、帰らぬ人となってしまった事を考えると
音楽の神様に感謝するしかありません・・・。
 

2010. 7. 11

.26 ヴィヴァルディ 協奏曲「 四季 」 Op.8

イ.ムジチ合奏団

フェリックス・アーヨ(vn

PHILIPS X-8502

 暑い夏がやっと過ぎ、ようやく音楽を聴く気力がでて
コンサートにも足を運ぶようになりました。
次回は来月3日のネーベル結成40周年記念コンサート
行く予定です。
演奏曲目の中に有名なヴィヴァルディの四季もあります。
四季と言えば最初に買ったレコードがこのアーヨ盤。
その後、数多くのレコードが出ましたが、今でも
私にとってのベスト1です。

 
 現代の演奏から見るとテンポもゆっくりですが
フェリックス・アーヨの伸びやかな弦の音と
情景が浮かび上がるような合奏はいつ聴いても見事です!

 そして、ベストセラーになったこのLPレコードが
その後、数多くのクラシックファンを作ったことは
言うまでもありません・・・。

 

2010. 9. 23

 .27 J.S.バッハ リュート曲集

ヴァルター・ゲルビィッヒ(Lt


MUSICAPHON OW-7796-MC

 初めてリュートの音を聴いたのは、たぶんこのLP
だったと思います。

 もっともリュート自体も、バッハの時代から
200年あまりも忘れ去られた存在であったそうですから
20世紀の中頃、演奏者が少ないのは当たり前の
ことだったのでしょう。

 ゲルビィッヒは1889年生まれのドイツ人。
ケルン国立音楽大学の教授で、合唱指揮や楽器の製作も
していました。
教え子にはドンボアを始め、数多くの演奏者がいます。
今日のリュートの隆盛を見たら、きっと喜ぶ事でしょう・・・。

 私が本物のリュートの音に接するのは
それから20年も経ってからのこと・・・。
その繊細な音色に魅了されました。
コンサートの打ち上げの帰り道
リュート奏者の「つのだ たかし」さんに
「なんでリュートのネックは曲がっているんですか?」
と尋ねたら「それは私の心が曲がっているからです」
との答えに、大笑いした夜を思い出しました・・・。

2010. 10. 31

.28 モーツァルト フルートとハープの為の協奏曲

ジャン・ピエール・ランパル(fl
            
リリー・ラスキーヌ(harp

ジャン-フランソワ・パイヤール(cond

パイヤール室内管弦楽団


ERATO EX-2315

 今日はモーツァルトの誕生日です。
お正月に
フルートとハープを演奏している絵
お借りしたので、この曲を流しました。

 久しぶりに聴きましたが、雪で明るくなった部屋に
とてもよく響きました・・・。
ランパルとラスキーヌの紡ぎだす音楽はまさに
天上の調べです。

 この曲にはもう一枚、思い出深いLPがあります。
ミュンヒンガーがウイーンフィルを振ったもの・・・。
 知り合いの先生宅で聴いたのは、もう30年も前の事。
その時、スピーカーの姿は消え去り、個々の楽器の音が
混じり合いながら、ただ音楽だけ、モーツァルトだけが
鳴ったのです・・・。

 あれから何回もターンテーブルの上にレコードを
乗せましたが、あの時の響きは聴く事ができません・・・。

2011. 1. 27

.29 ベンチャーズ・ベスト4

ザ・ベンチャーズ

東芝 / LIBERTY LP-4051

 テケテケテケテケテ〜ン♪
夏といえば
ベンチャーズ!!
私が中学生のころはエレキの全盛期。
放課後の掃除の時間、ほうきを持って
友達とエレキギターのまねをしていて
先生にこっぴどく叱られた事も
懐かしい思い出です・・・。

 このレコードはEP盤と同じ大きさで
回転数だけLPと同じ33回転という
コンパクト盤なるもの・・・。
最初に買ったレコードは無くなりましたが
友人が夏のビールのお供にということで
持って来てくれました!
さて、今晩もこれを聞きながら
飲みますかな・・・。

2011. 7. 16

.30 モーツァルト 後期交響曲(第35番〜41番)

ラファエル・クーベリック(cond

バイエルン放送交響楽団

SONY 20AC 150235番、36番)
SONY 20AC 1565
38番、39番)
SONY 20AC 1597
40番、41番)


 この三枚のレコードは、喫茶店を開いていた
1981
年にリリースされました。
颯爽として、よどみなく流れる演奏に
心を躍らせたことを、昨日のように憶えています。
特に35番「ハフナー」、36番「リンツ」のこのLPと
38番「プラハ」、39の2枚は、演奏もさることながら
ジャケットの写真が素敵で、店で本当に良く流しました。
今回、久しぶりにレコード棚から取り出したのですが
時屋のカウンターの光景がすぐに眼に浮かび
何とも言えない気持ちになりました。

 あれから30年が過ぎた今、3枚のレコードは少し
色あせてしまいましたが、クーベリックの演奏は
色あせる事はありません・・・。

2011. 10. 9


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